破語乱語 Broken Words

アクセスカウンタ

zoom RSS 夢見る権利

<<   作成日時 : 2006/09/01 15:13   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

おそらく、知っている人はごく少数だろうと思うけれど、渋谷で、駅と
その周辺の大規模な再開発プロジェクトが動き出そうとしている。

現在でも渋谷は、JR、東急の東横線と田園都市線、そして地下鉄の銀座線と
半蔵門線が乗り入れている全国でも屈指の巨大ターミナルだけれど、来年には
地下鉄がもう1線(東京メトロ13号線)乗り入れることになっているので、
それに合わせて駅とその周辺を一体的に「整備」しようということらしい。

ただ、このプロジェクトを取りまとめる立場にある(はずの)渋谷区が掲げて
いるプランは、まったくいただけない。2棟の超高層ビルを建設し、適度に
歩行者デッキをからめるだけのこのプラン(「渋谷駅周辺整備ガイドプラン
21」というらしい)には、“渋谷ならば”というオリジナリティがまったく
感じられないし、どうひいき目に見ても、各路線の接続等の工学上の必要や、
JR他の地権者にとっての<経済効率>以外には何も考えていないのだろう――
と思わずにいられないほどの“無様さ”なのだ。

つまり、ここでもまた、行政(や企業)にまかせているだけでは、取り返しが
つかないほどの破局的な「結果」をつき付けられることになる――という構図
が露呈しているのだと思う。……まあ、ここまでならば、現代の日本人にとって
はおなじみの“失望の物語”が、また一つ生まれたというだけのことで終わり
かもしれない。

しかし、実はそうではないのだ。この行政主導の(実際にそうなのかどうかは
疑わしいが)プランのあまりの無様さと拙劣さに愕然とした(というのは私の
推測だが)渋谷在住の建築家が中心になり、商店会の人たちの協力も得て、
「渋谷の未来B」という素晴らしい代替案を作成し、行政やJR、東急等の利害
関係者に提案しているのだ。

この「渋谷の未来B」というのがどのようなものかは、以下の記事を読んで
いただくのが何よりだと思うが、もし、この日本に「都市計画」というものが
適切に行われるような土壌があるならば、行政が提示しているプランよりも、
この「未来B」の方が圧倒的な優位性をもっていることは、細かく論証する必要
さえないほどに明白だと私は思う。

http://www.pingmag.jp/J/2005/09/12/shibuya-common/

「渋谷の未来B」は、巨大ターミナルという都市交通上の機能について、ほぼ
完璧といってよい解を導き出しているだけでなく、現在、JRや東急、地下鉄の
駅とデパートがある空間に、樹々におおわれた丘のようにも見える巨大な建造物
を出現させるという、とてもダイナミックで魅力あふれるプランなのだ。

しかも、特筆すべきなのは、全体のスケールの大きさにもかかわらず、この
プランは決して表面的な「デザイン優先」に陥っておらず、それ自体が一つの
都市でもあるかのように、豊かな広場・歩行空間を内包していることをはじめ
として、あくまでも“人間が主役”という視点なり思想で貫かれているように
見える、ということだろう。

端的にいって、明るい話題に乏しい現代の日本の「都市」が置かれている状況の
中で、「渋谷の未来B」のようなプランが生まれたことは稀有のことであり、
奇跡に近いとさえ私は思う。そういうと、六本木ヒルズや表参道ヒルズがある
ではないか――という反論が返ってきそうだが、あれらの「話題のスポット」が
どれだけ“時の試練”にたえられるかは、とても疑わしいと私は思う。よくて
30年が限度で、50年後には消滅している可能性も大きいのではないだろうか。*

一方、「渋谷の未来B」の場合は、必要なケアさえなされれば、50年は何の
問題もなく、100年後にも立派に生き残ることができるのではないか――という
気がする。そして、この、“時の試練”にたえられるということこそが、都市の
ステイタスの根幹にあるべきことなのだ。

――以上のように見てくると、渋谷にとってこの問題は、単に「駅とその周辺」
だけの問題ではないということがわかるだろう。しかし、これまでのところ、
どうも渋谷区の行政マンや区長、区議会議員、そして一部の関係企業なども、
この基本を一向に理解できていないらしい。これは、由々しき事態だといわねば
ならないかもしれない。

なぜなら、「渋谷の未来B」は、渋谷という街に育ち、そこで生き、そこで人生の
一部に他ならない貴重な時間を過ごすすべての人間にとっての“夢見る権利”を
具体化したようなプランに他ならないからだ。十分に検討することもなくこの
プランを圧殺し、葬り去るようなことは、人間と、その創造性を冒涜することで
あって、決して許されるべきことではないだろう。

では、私たちに何ができるのかについては、また改めて考えてみたい。

[2006-06-28]

*表参道ヒルズなどは、ハードはとても堅固であり、耐用年数はかなり長そうだ。
 しかし、魅力ある空間を創出しえているかといえば非常に疑問で、遠からず
 飽きられてしまうように思えてならない。唯一の功績といえるのは外部空間に
 対して高さを抑えた点だろうが、それもアイデア倒れの観があって、とても
 空しく感じられる。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
夢見る権利 破語乱語 Broken Words/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる