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先日、新宿で友人と待ち合わせた際、少し時間が空いたので、南口のタカシマヤ の上のHMVに寄り、CDなどを物色した。 ちょうどセールをやっていて、安くなっていたJAZZのDVDを買ったりしたが、 クラシックのコーナーも覗いてみると、以前にも見かけて気になっていた MOMPOUのピアノ作品集が、CD4枚組のセットで1500円ほどという驚きの安さ だったこともあって、迷わず購入した。 正直なところ、このCDセットを入手するまでは、MOMPOUについて、詳しいこと は何も知らなかった。ただ、FEDERICO MOMPOU(フェデリコ・モンポウ)という 名前や、ボックスの裏に記された曲名などから、スペインの作曲家であることは 間違いなさそうだし、1893-1987という生没年からすると、「現代音楽風」の 作品を書いた人なのだろうという見込みだけはあった。 実は私は、ファリャFalla、アルベニスAlbeniz、グラナドスGranadosといった スペインの近現代の作曲家のピアノ作品に近年、強く惹かれていて、とくに、 アルベニスの「Iberia」やグラナドスの「Danse espagnol」のスタイルや響きの 比類のない美しさには、心底感嘆している。 そしてMOMPOUも、これらの巨匠たちと類縁関係にある人なのだろうと考えた わけだが、この予想はうれしい驚きとともに的中した。購入したCD4枚組のセット が破格の安さであることは事実だけれど、入手したのにはもう一つ大きな理由が あって、それは、このCDが作曲者であるMOMPOU自身の演奏を収めたものであり、 つまり、これによって「MOMPOU自身によるMOMPOU」を聴くことができる、と いうことだ。 作曲家自身の演奏としては、ピアノであればラフマニノフやラヴェルがいるし、 ヴァイオリンならクライスラーやサラサーテの演奏もよく知られている。しかし、 残念ながら彼らの演奏はいずれもレコード創世期の頃のもので、音質の点では あくまでも「マニア向け」のものということになるだろう。 それに対して、このMOMPOU自身による演奏が録音されたのは1974年のこと らしく、音質はまずまずだし、何といっても、当時MOMPOUはすでに80歳を 越えていたことになるけれども、演奏にことさらな「老い」は感じられず、 指さばきは手がたく軽やかで、随所で若々しくつややかな響きを聴かせてくれる。 まだよく聴き込んではいないし、作品自体について、何か断定的なことを言える ほどの知識も私にはない。しかし、「現代音楽風」の新奇さや難解さとは一線を 画しながらも、MOMPOUの音楽には、たしかに現代の音楽だと感じられるような 響きがふんだんに織り込まれていて、とても好ましい。 おそらく、MOMPOUの作品は、今後、20世紀の古典として、より多く演奏され、 より広く聴かれるようになるに違いない。その流れの中で、幸運にも私たちに 遺された「MOMPOU自身によるMOMPOU」は、きっと、いよいよ輝きを増して ゆくことだろう。 この夏、あなたが何か新しい音楽に出会いたいのであれば、この「MOMPOU自身 によるMOMPOU」を候補にしてみる価値は、十分にありそうだ。 [2006-07-11] |
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